黄色い部屋からの脱出2

照明をオンオフすることで部屋の相貌が一変する、その仕掛けを拡張した第2作目。思えば一番好き勝手に作った作品で、だからもちろん評判が悪かった気がしますね。脱出ゲームというジャンル性を保持するために一応謎やギミックを仕込んではいますが、実はこういう空間が大好きだから作ったという一作。今も似たような制作姿勢で作ってるとは思いますが、この頃に比べるとエンターテインメント性は少なからず意識しています。

タイトルが色名の作品は基本的に悪い夢のような空間がテーマです。本作はカフカの一連の小説、特に『城』やデヴィッドリンチの作品、特に『ロストハイウェイ』などの影響下にあります。シンプルに見えて実は複雑に入り組んでいる空間=迷宮的なものから脱出を試みるも同じところを堂々巡りして、結局は開始点に戻ってしまうような悪夢。でもこれは脱出ゲームなんで終点=脱出成功は用意しないといけないのですが、ラストは暗い寝室という設定で堂々巡り感を残したと記憶しています。

また、がらんとした空間の壁に巨大な手など書き割り的な空間性、闇と光のコントラストに執拗にこだわった演出など、やはり本作は演劇実験室天井桟敷の影響も色濃いですね。

まぁ構想はそんな感じですが、実現力の無さで全く届いてはいないと思います。それに3Dソフトの限界や自分の技術の問題で画質が良くないので、できればもう一度今の技術でこういう作品を使ってみたいですね。この文を書いていてそう思いました。画力のある人と組んで幻想的で演劇的な作品が作れればと思います。ゲームとしての評判は頗る悪いとは思いますが。